幻のハンマーヘッドを見たっ!

今年のお正月はフィリピンのマクタン島というところでダイビングをして過ごしました。
パラオやシパダンなど一般的には知られていないけれど、ダイバーだけに超有名な島はいくつもあるけれど、さすがにマクタン島はフィリピンを訪れた人くらいにしか、知られていないのでは・・・。私はダイビングポイントがあることも、島の名前さえ知らなかったんだけど、みんな知ってた?
ちなみに、フィリピンといえばカビラオやボホールという大物ガンガンの有名なポイントもあるのに、なぜそこに行ったのかというと、もちろんシーズン的なものと、お値段が安かったからです。


さて、マクタンでは6本潜りましたが地形的に似ているのか、お天気が良くなかったせいか、思ったほどトロピカルではなくてちょっと地味め。一番良く見かけた魚は黄色いこの魚。これはスズメダイです。
実際の写真ではこんなに暗くなかったのですが、とりこんだときに色が変わったのか・・・。(言い訳)
直すのが面倒なのでこのままいきます。 (^^;)


スズメダイ

これでは重い水中カメラを日本から抱えて持って行ったのに、すっかりカメラがお荷物状態だよ。
なのに同じポイントに一緒に潜ったおじさん達は大きなカメを間近で見た(そしてカメラにおさめた)だの、マンタが私たちのすぐ後ろまで来てびっくりしているうちに身を翻して去って行ったとか、他の誰も見ていないのに、おとぎ話のような羨ましいことを言う。
そのお二人はどこに行っても大物に遭遇する強運の持ち主なんだそう。
私はどこに行っても大して大物は見ない運の持ち主。(めそめそ。。。)
そうしてとうとう帰る日がやって来ました。深夜に出発なので、午前中の早い時間に潜り終えて午後は帰る支度を整えてゆっくりと過ごし、食後はホテルのレストランで別の独りで来られていた女性のインストラクターさんと、大阪からの男性2人と一緒にログ(ダイビング記録のこと)付けをしていました。
すると、その内の一人がバーのカウンターの後ろの水槽をみて「あれ、ハンマーヘッドの子どもじゃない?」と言いだし、みんな「え~、こんなところにいるか~???」「違うでしょう」などと言っていました。
魚は3匹いて、何の飾り気もない水槽に入れられ、言われてみればグレーで目のところがちょっと横に突き出た変な格好をしていました。
私もハンマーはもっとでっかいものだと思っていたし、水槽で飼うなんておもいつきもしなかったからかなり半信半疑。
でも、自信満々だったので、水槽の前でナイフやフォークを片づけていた女性にききに行きました。
「あれはなんて魚?」って(一応本人は英語のつもりで)訊ねたら、その女性はニヤッと笑って短く、少々低い声で「ハンマーヘッド」と答えた。
きゃあ~っ!!!ホント~!?
私はお礼を言って、走ってみんなのところに帰って「あれ、ホントにハンマーヘッドだよー!」って興奮して報告したら、みんなも「聞こえた~確かにそういった」って言って、その後大騒ぎ!
それまでデジタルビデオで録った水中映像を見せてもらっていたので、急遽ビデオの終わりに合わせ、カウンターに入って、そのハンマーヘッドを録画し始める始末。
日本に帰ってこれを上手くそれまでの映像と繋げて、ダイビングショップの仲間に「ハンマーヘッドを見たぞ」「証拠のビデオもある」とだましたら面白いねと、今録った所を巻き戻して再生。みんなで頭を付き合わせて小さいビデオの画面を見て大笑い。
いかにも水槽の中ですといわんばかりに行ったり来たりしている。
しかも水槽の角も、ホースから泡がプクプク出ているのもうつっている。
でも、ビデオにおさえたことに満足しながらなおも盛り上がっていると、後ろから「それねー、ハンマーヘッドじゃないですよ。金魚です」と日本人の男性の声。
振り向くと日に焼けたオヒゲのおじさんが立っていた。たぶん、このホテルの日本人マネージャーさん。
「今、そこのカウンターの女性にきいたんですよ」「確かにハンマーヘッドって言われたのに」って反論したら「そう。聞こえました。ハンマーヘッドって言ったけど、ハンマーヘッド・シャークとは言わなかったでしょ!?違うんです。それはナマズの一種で淡水の魚なんです」とのこと。やはり、姿形が似ていることから名付けられたようで、そのナマズは赤ちゃんの頃は群れて泳ぐので余計似ているんだって。
海がこんなに近いのにわざわざここで淡水のナマズを飼っているのは疑問だ。
騙されて大騒ぎする客がいたら楽しいなーって仕入れたに違いないっ!
ダイビングショップの仲間を騙す前に、まんまと自分たちが罠にはまっていたのでした。ふっ、まだまだ甘いな・・・。