あれは1998年の秋のことした。
確か例年になくポカポカな日が続き、ニュースでも陽当たりの良い山の斜面などには桜も狂い咲きしたと伝えていた翌日です。
いつものように夕方、車でゴルフの打ちっ放し場の横を颯爽と走り抜け、家路に急いでいました。
そこは道に面しているにも関わらず、斜面の桜の木でボールが出るのを防いでいるつもりなのか珍しくネットを張っていません。
「あれ、ここにも桜が咲いている」
まさしく、陽当たりの良さそうな木の1枝、2枝にたっぷりと桜が咲き誇っているじゃありませんかっ!
もちろん帰ってから両親に話さないはずはありません。
次の日も会社の人に話して歩き、はては朝礼でのネタにさえしました。
こんなの異常気象ですもん!
なのに、一ヶ月たっても、冬になっても、雪が降っても、強情にも咲き続けるのよ。この桜!
ああ、今頃になって気が付いた。枝の付け根に白いテープのようなものが巻いてあるじゃない。
これって、もしかして造花かいっっっっっ!?ガクッ。
問題の桜の枝。包帯に注目!
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