木曜日の夜8時20分。
食後のくつろぎタイムに鳴り響く電話の音。
我が家の電話は私が日中も家にいるので昼間にかかることが多く夜は珍しい。
誰だろう?ととると母の友達からだった。実家の近所に住んでいる。
お友達 「あのねー、お母さんがカラオケに来ないんだけど今日何か予定があるとか聞いてるー?」
私 「いや、聞いてないよ」
お友達 「家に行ってみたら玄関と二階の電気はついてるんだけど呼び鈴ならしても出ないし、電話をかけても留守電で携帯かけても繋がらないのよ」
携帯が繋がらないのはいつものことだ。だけど今の家に引っ越して以来、地域の婦人会の付き合いで通い始めたカラオケ教室はもう18年も続けていて無断で欠席することなんて無かった。
真面目に通うおかげで聞く者誰もが赤面せずにはいられないほど猛烈な音痴だった母が今では歌が上手いと皆に認められるくらい上達したのだからどれだけ熱心だったか分かるというものだ。始まって少し時間が過ぎた位でどうしたのかと心配し始めるのも無理はない。
おかしいね、同じ市内に住む弟にも聞いてみるわとお礼を言って電話を切った。
私からも母の家と携帯に念のため電話をかけた後、弟が仕事中かもしれないので携帯でなく家にかけると話中。弟の奥さんにかけると呼び出し音が鳴ったまま出ない。もう一度家にかける話中・・・。
おかしい。
なんでこんなに繋がらないんだろう。
さすがに心配になってくる。
弟の携帯にかける。
「はい、何?」とようやく声を聞くことができた。
とりあえずホッとする。
事情を説明して母の予定を知らないかと聞いたけど知らないという。けれど、電話が通じない以上直接行ってみなければ状況が分からないので、すぐに向かうと言ってくれた。
市内とはいえ結構離れているので40分はかかるだろうか。
緊迫した状況の中、ジッと待つしか出来ないのもツライところだ。
30分後、本当にすぐに家を出たのだろう思ったより早く弟が家に着き電話をくれた。
「いたよ」
その後ろで大失敗だったと母の甲高い笑い声がする。
どういうこと???
昼過ぎに年に一度か二度しか来ない叔父が急に来ることになり、久しぶりなのでご馳走を用意しようと忙しく用意して迎え、帰った後で「そうだ!今日は世界バレー女子の最終日だから絶対見なきゃ!!」とそのことしか頭になくなって試合の放送が始まる前までにお風呂も入って準備万端整えて2階で必死に応援していた・・・だけだったそうな。
は~。(--;
そういえば、バレー好きなのよね~。
叔父さんが来るというイレギュラーな出来事があった為にすっかりカラオケのことを忘れてしまっただけらしい。弟には仕事で疲れているのに申し訳なかったけれど、大変なことにならず良かった良かった。友達がいつも気をつけていてくれるから安心だし、今回は緊急時の訓練みたいなものか。
だけど、人気者は辛い。
気ままに過ごすことが許されない母も大変だね~!!